法事の御膳料を渡さない場合の作法|寺院・地域差の見分け方

法事で御膳料を渡さない日本人男性の状況 葬儀の基礎知識・用語・マナー

法事の御膳料を渡さないでよいのかは、会食の有無や寺院の考え方で変わります。何となく省くと、当日に気まずくなったり、親族内で説明が難しくなったりします。

一方で、事情があって会食を設けない法要も増え、無理に形だけ整えるよりも、失礼にならない筋道を押さえることが大切です。ポイントは「何の代わりのお金か」を理解することです。

この記事では、御膳料の基本から、渡さない判断の軸、伝え方、封筒の作法、行き違いが起きたときの対処までを、順番に整理します。読んだあとに家族で同じ説明ができる状態を目指します。

法事で御膳料を渡さない場合の基本(法事 御膳料 渡さない)

御膳料は「食事を用意する代わりに渡すお金」です。まず意味を押さえると、渡さない判断が感覚ではなく、筋道でできるようになります。

御膳料とは何か、お布施・御車代との違い

御膳料は、法要後の会食(お斎)を本来の形で用意できないときに、食事の代わりとして包むお金です。読経そのものへの謝礼はお布施で、役割が違います。

また御車代は、僧侶が移動する負担への配慮です。同じ日に包むことが多いので混同しがちですが、目的が別です。何のためのお金かを分けて考えると迷いが減ります。

会食(お斎)との関係で「必要・不要」が分かれる

御膳料は、会食を設けない場合や、会食はあっても僧侶が参加しない場合に用意する考え方が一般的です。つまり「食事の代替」という位置づけです。

逆に、僧侶が会食に同席されるなら、食事そのものが提供できているため、御膳料を別で用意しないケースもあります。ただし寺院の方針で扱いが異なる点は注意が必要です。

渡さない選択が起きやすい代表的な場面

渡さない判断が出やすいのは、親族だけで短時間に終える法要や、午後開始で会食を設けない形、遠方からの参列者が日帰りで散会する形などです。

また、住職が多忙で会食を辞退される場合もあります。このとき「辞退=不要」と早合点しやすいのですが、辞退は食事の席の話で、御膳料の扱いは別に考えるのが安全です。

状況 御膳料の考え方 ひと言の目安
会食あり・僧侶も同席 用意しないことが多い 「本日はご一緒ください」
会食あり・僧侶は辞退 用意することが多い 「お食事の代わりです」
会食なし 用意することが多い 「本日は会食がなく…」

Q. 住職が会食に参加される場合も、御膳料を包んだほうが無難ですか。A. まずは会食でおもてなしができているため、別に用意しないこともあります。寺院の慣れた形があるので、迷う場合は事前確認が安心です。

Q. 会食を辞退されたら、御膳料も不要と考えてよいですか。A. 辞退は席の都合のことが多く、御膳料は食事の代わりとして別で用意する考えが一般的です。受け取り方針は寺院により異なります。

  • 御膳料は「食事の代わり」と理解すると判断しやすい
  • お布施・御車代とは目的が違うため分けて考える
  • 会食の有無と僧侶の同席が大きな分かれ目
  • 迷いが出る場合は事前確認が最も確実

渡さなくてよいか判断する3つの軸(寺院・地域・段取り)

御膳料を渡さない判断は「寺院の方針」「地域や親族の慣習」「当日の段取り」の3つで決まります。順番に当てはめると整理できます。

菩提寺かどうかで考え方が変わる理由

菩提寺(代々お世話になっているお寺)がある場合は、その寺院の慣れた形に合わせるのが一番角が立ちにくいです。金額の大小より、流れを崩さないことが重視されやすいからです。

一方で、初めてお願いする寺院や会館経由で依頼する場合は、一般的な作法に沿って準備することが多くなります。この差が「渡す・渡さない」の迷いを生むので、立ち位置を先に整理します。

地域や親族内の慣習はどこまで優先するか

地域差は確かにありますが、参列者が複数地域にまたがると、どれが正解か決めにくくなります。その場合は「主催側の基準を一つ決め、家族で説明できる形にする」のが現実的です。

例えば年長者の経験が強く反映される家もあります。そこで大切なのは、感情で押し切るより「会食の有無」「辞退の有無」「寺院の方針」を根拠にして、全員が納得しやすい言い方に整えることです。

当日の流れで決まるポイント(辞退・移動・時間帯)

午後開始で散会が早い、会場の都合で会食が組めない、参列者がすぐ移動するなど、段取りの事情はよくあります。この場合は、無理に会食を形だけ作るより、代替として御膳料を用意する考え方が出てきます。

ただし、住職が「今日は不要です」と明確に伝えられる場合もあります。ここで大切なのは、受け取らない方針を尊重しつつ、失礼に見えない準備をすることです。断り方にも作法があります。

渡さない判断のチェック

1. 会食(お斎)を設けるか
2. 住職は会食に同席されるか、辞退か
3. 菩提寺の慣れた形はあるか
4. 親族内で基準を一つにできているか
5. 迷う点は事前に電話で確認したか

具体例:午後の一周忌で会食なし、住職は読経後すぐ次の予定へ移動する場合は、御車代とあわせて「本日は会食がありませんので、お食事の代わりです」と添えて御膳料を用意すると筋が通ります。

  • まず寺院の方針に合わせるのが最も安全
  • 地域差より「家族で説明できる基準」を優先する
  • 会食がないなら御膳料で謝意を形にしやすい
  • 受け取らない方針がある寺院もあるため確認が有効

失礼にならない伝え方と当日の渡し方(主催側・参列側)

渡さない場合も、渡す場合も、結局は「どう伝えるか」で印象が決まります。場の空気を乱さないために、言葉と手順を先に決めておきます。

主催側が準備しておく一言と段取り

法事で御膳料を渡さない場面の説明

主催側は、御膳料を用意するかどうかを家族で先に決め、当日は短い一言で済むようにしておくと落ち着きます。長い説明は不要で、相手が受け取りやすい言い方が大切です。

例えば御膳料を渡すなら「本日は会食がありませんので、お食事の代わりです」。渡さないなら「本日は食事の席を設けませんが、どうぞよろしくお願いいたします」とし、別にお布施や御車代で丁寧に整えます。

参列者はどう関わるべきか(基本は主催側が対応)

参列者の立場では、御膳料の準備や受け渡しに直接関わらないのが一般的です。僧侶への謝礼は主催側の役目で、参列者は香典や供物など、自分の範囲の作法を整えるのが基本です。

ただし親族として手伝う場合は、主催者の決めた方針を外で言い換えないことが大切です。「うちは渡さないから」など断定すると角が立つため、「家で相談してこの形にしています」と柔らかく合わせます。

渡すならいつ誰から、受け取りやすい形にする

渡すタイミングは、読経前後の落ち着いた瞬間が一般的です。受付がある会場なら、施主や世話役が控室で渡すと人目を避けられます。慌ただしい場面で手渡しすると、お互いに気を使います。

また、現金をそのまま出さず、封筒に入れて袱紗(ふくさ)で包むと丁寧です。複数包む場合は、封筒を分けて目的が混ざらないようにすると、受け取る側も整理しやすくなります。

場面 おすすめの渡し方 避けたい例
読経前 控室で施主から手渡し 開式直前に受付で慌てて渡す
読経後 お見送り前の静かな時間 参列者の前で長く説明する

Q. 住職が「お気持ちだけで」と受け取りを遠慮されたらどうしますか。A. 無理に押し付けず、「では次回以降も同じ形でよいでしょうか」と方針を確認し、感謝の言葉を丁寧に伝えます。

Q. お布施と御膳料を一つの封筒にまとめてもよいですか。A. 目的が違うため分けるのが無難です。どうしても一つにする場合は事前に寺院へ確認し、当日に混乱が起きないようにします。

  • 主催側は「一言で伝える」準備が場を落ち着かせる
  • 参列者は基本的に主催側の方針に合わせる
  • 渡すなら控室など落ち着いた場所と時間を選ぶ
  • 封筒を分けて目的を混ぜないと誤解が減る

封筒・表書き・お札の向きの実務

御膳料を渡す場合は、封筒と書き方で迷いがちです。細かな作法は地域差もありますが、基本を押さえれば失礼にはなりません。

封筒の選び方(白封筒・不祝儀袋・水引)

御膳料は白い封筒か、不祝儀袋を用いるのが一般的です。水引は黒白や双銀など落ち着いた色を選び、派手なものは避けます。会食の代わりとはいえ、弔事の場に合う見た目が大切です。

封筒のサイズは、お札を折らずに入るものが扱いやすいです。近くの文具店や仏具店で手に入ることが多く、迷ったら「御膳料用の不祝儀袋」を選べば大きく外しにくいです。

表書きと名前の書き方で迷わないコツ

表書きは「御膳料」とするのが分かりやすいです。地域によって「御膳代」など表記が揺れることがありますが、相手が受け取ったときに意図が伝わる表現が第一です。

下段には施主名(フルネーム)を書きます。夫婦連名にするか、家名でまとめるかは家の方針に合わせます。筆ペンで丁寧に書き、薄墨か濃墨かで悩む場合は不祝儀袋の案内に従うと安心です。

お札の新旧・向き・袱紗の扱い

お札は新札を避けるという考え方もありますが、汚れたお札は失礼に見えます。きれいなお札を選び、必要なら軽く折り目がついた程度のものにするなど、相手の受け取りやすさを意識します。

入れ方は、不祝儀の作法として人物の面を裏にし、封筒の開く側と反対向きに入れる説明がよく見られます。袱紗に包んで持参し、取り出す所作を落ち着いて行うと印象が整います。

封筒準備の手順

1. 白封筒か不祝儀袋を用意
2. 表書きは「御膳料」
3. 下段に施主名を記入
4. きれいなお札を向きに注意して入れる
5. 袱紗に包んで当日に備える

具体例:表書きは上段に「御膳料」、下段に「山田太郎」。夫婦で施主を務めるなら「山田太郎・花子」とし、当日は控室で「本日は会食がありませんので、お食事の代わりです」と添えて渡します。

  • 封筒は弔事に合う白基調を選び、派手さを避ける
  • 表書きは「御膳料」が分かりやすく迷いにくい
  • お札は汚れを避け、向きと所作を落ち着かせる
  • 袱紗を使うと受け渡しが丁寧に見える

渡さないで起きやすい行き違いと対処(請求・親族の齟齬)

御膳料を渡さないと決めたときに困るのは、当日の気まずさより「後からの行き違い」です。起きやすいパターンを知っておくと落ち着いて対応できます。

親族間でズレが出る原因とそろえ方

ズレが出る原因は、「昔はこうだった」という経験談が家族ごとに違うことです。特に複数の家が関わる法要では、誰の基準に合わせるかが曖昧になり、当日に意見が割れることがあります。

そこで、主催側が「会食の有無」「寺院の方針」「当日の段取り」を根拠にして、基準を一つ決めます。話し合いは短く、決めたら同じ説明で統一するだけでも、余計な摩擦を減らせます。

寺院から案内や請求があったときの受け止め方

寺院によっては、御膳料を含めた考え方を案内している場合があります。このとき「請求された」と感じると構えやすいのですが、寺院側の慣例として整理されているだけのこともあります。

もし渡さない方針で進めていたなら、「会食を設けない予定ですが、御膳料はどのようにすればよいでしょうか」と確認し、方針に合わせます。大切なのは、相手の慣れた形を尊重しつつ、家の事情も丁寧に伝えることです。

事前確認のやり方(電話の聞き方・メモの残し方)

事前確認は難しい言い方をせず、要点だけ聞けば十分です。例えば「当日は会食がありません」「御車代と御膳料は別々に用意しますか」「表書きは御膳料でよいですか」と短く確認します。

電話した日時、対応してくれた方、返答をメモに残すと、家族内の説明にも使えます。口頭の記憶に頼るとズレが出るので、スマートフォンのメモでも構いません。記録があるだけで安心感が変わります。

起きがちなこと まずやること 避けたい対応
親族が「失礼だ」と不安 根拠(会食なし等)を共有 感情で言い返す
寺院から案内がある 方針を確認し合わせる 無視して当日を迎える
当日に渡す物が混乱 封筒を分け、名前を明確に 一つの封筒にまとめる

Q. 親族から「渡さないのは恥ずかしい」と言われたらどうしますか。A. 会食の有無や寺院の方針など、判断の根拠を落ち着いて共有します。納得しにくい場合は、寺院へ確認した結果を伝えると収まりやすいです。

Q. 当日に「やはり必要」と言われたら間に合いますか。A. 近くで封筒が手に入らない可能性があるため、迷う場合は最初から準備しておくのが安全です。最終的に不要なら持ち帰れます。

  • 行き違いは「基準が決まっていない」と起きやすい
  • 寺院の案内は慣例の整理である場合も多い
  • 確認は短い質問で十分、返答は必ずメモに残す
  • 迷うなら準備しておき、当日の判断に余裕を作る

まとめ

御膳料は「食事の代わり」という位置づけなので、会食があるかどうかが大きな分かれ目になります。渡さない判断をするときは、寺院の方針、地域や親族の慣習、当日の段取りの順に当てはめると整理しやすいです。

大切なのは、形を省くこと自体ではなく、相手に失礼に見えない筋道を作ることです。迷う点は事前に短く確認し、返答をメモに残すだけでも家族の不安が減ります。渡す場合も、控室で落ち着いて渡すだけで印象が整います。

準備の段階で「何を、何の目的で、どの封筒で渡すか」を家族内で共有できれば、当日の負担はぐっと軽くなります。作法は相手への配慮の形なので、無理のない範囲で丁寧さを整えていきましょう。

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