リムジン霊柩車は、出棺のときに初めて「どんな車が来るのか」と気づく方も少なくありません。葬儀の準備で確認しておきたいことは多く、霊柩車について調べる余裕が生まれるのはごく限られた時間です。
リムジン霊柩車の基本的な特徴から乗車人数・費用・当日のマナーまで、あらかじめ知っておくと出棺の場面で慌てずに済みます。宮型霊柩車との違いや、葬儀社へ事前に確認しておきたいポイントも合わせて整理します。リムジン霊柩車は近年の葬儀で主流となっている形式ですが、地域や葬儀社によって扱いが異なるため、個別の確認も大切です。
リムジン霊柩車とはどのような車か
霊柩車にはいくつかの種類があり、リムジン霊柩車(洋型霊柩車)はそのうちのひとつです。車体の外観や乗車できる人数が種類によって異なるため、葬儀の準備段階でどのタイプが使われるかを把握しておくとよいでしょう。
リムジン霊柩車の基本的な特徴
リムジン霊柩車とは、センチュリー・クラウン・レクサスなどの高級セダンやステーションワゴンをベースに車体を延長し、後部に棺を収めるスペースを設けた霊柩車です。洋型霊柩車とも呼ばれ、宗教的な装飾を持たないシンプルな外観が特徴です。
車体は黒が多く使われますが、パールホワイトやシルバーなどの車体色を選べる葬儀社もあります。荷室には棺を固定するローラーレールとストッパーが備えられており、棺の出し入れをスムーズに行える構造になっています。
霊柩車は「特種用途自動車」(8ナンバー車)に分類され、緑色ナンバープレート(800番台)が交付されます。霊柩搬送を業として行うためには、国土交通大臣への届出に基づく一般貨物自動車運送事業の許可(霊柩限定)が必要です。
宮型霊柩車との違い
宮型霊柩車は、車体後部にお宮型の装飾棺室を備えた、日本で古くから使われてきたタイプです。金箔の彫刻や蓮の花の装飾が施され、神社仏閣の輿を模した外観が特徴でした。昭和後期まで霊柩車の主流でしたが、近年は急速に数が減少しています。
宮型が減った背景には、派手な外観が住宅街への乗り入れを敬遠される原因となったことや、国土交通省の保安基準強化により突起物の多い宮型の新規製造が事実上困難になったことがあります。現存する宮型は年式の古い車両が多く、今後もさらに台数が減ると考えられています。
一方リムジン霊柩車は宗派を問わず利用でき、外観も目立ちにくいことから都市部を中心に普及しました。2009年頃には洋型(リムジン型)の保有数が宮型を上回り、現在は全国的に主流となっています。
バン型・バス型との違い
霊柩車の種類は宮型・洋型(リムジン型)のほかにも、バン型とバス型があります。バン型はアルファードやセレナなどのミニバンをベースにしたタイプで、外観が一般車に近く目立ちにくいのが特徴です。費用が比較的抑えられることもあり、家族葬などの小規模な葬儀で利用されることが増えています。
バス型は車体後部に棺室を備えたマイクロバス型の霊柩車で、遺族や参列者が棺と同乗できる形式です。北海道・東北などの雪深い地域で見られることが多く、移動を一台にまとめられる利点があります。地域の慣習や葬儀社の車両ラインナップによって選択肢が変わるため、利用前に確認するとよいでしょう。
・宮型:装飾棺室付きの伝統的タイプ。新規製造は事実上困難で台数が減少中。
・洋型(リムジン型):高級車ベースでシンプルな外観。現在の主流。
・バン型:ミニバンベースで目立ちにくい。家族葬など小規模葬儀で多用。
・バス型:棺と遺族が同乗できるマイクロバス型。寒冷地に多い。
- リムジン霊柩車は洋型霊柩車とも呼ばれ、高級車を延長改造した構造をもつ
- 宮型との違いは装飾の有無と現在の普及状況にある
- バン型・バス型は用途や地域の慣習によって使い分けられる
- 車両の種類は葬儀社の保有状況によって異なるため、事前確認が安心
リムジン霊柩車の乗車人数と同乗できる人
リムジン霊柩車に誰が乗るか、何人乗れるかは、車両の仕様によって異なります。葬儀が始まる前に葬儀社から案内がある場合がほとんどですが、あらかじめ把握しておくと当日の準備がしやすくなります。
乗車できる人数の目安
リムジン霊柩車は、車体後部を延長して棺室と乗客スペースの両方を確保した設計になっています。一般的な洋型霊柩車は助手席1名+後席1〜2名が乗車できる仕様が多く、リムジン仕様のものでは後席に2〜3名が乗れるタイプもあります。
助手席のみ1名が乗れるタイプ(比較的古い車両に多い)から、助手席+後席あわせて3〜4名が同乗できるタイプまで、仕様に幅があります。車体をセンチュリーで全長7mに延長したリムジン仕様では、後部座席に最大3名、助手席を含め4名が乗車できる事例もあります。
乗車人数は葬儀社ごとに異なり、当日に確認してから決めるのが難しい場合もあるため、葬儀打ち合わせの段階で「何名乗れる車両か」を確認しておくとよいでしょう。
誰が乗るかの一般的な考え方
霊柩車への同乗について、法律や礼儀上の明確な決まりはありません。一般的には喪主が乗ることが多く、1名乗車の場合はほぼ喪主が乗るケースが大半です。遺影写真を両手で持ちながら乗車するのが通例とされています。
乗車できる人数に余裕がある場合、喪主以外の近親者(故人の配偶者・子など)が同乗することもあります。誰が乗るかは家族内で相談して決めるのが自然で、葬儀担当者から「○名乗車可能です」と案内があった後に家族で調整するケースが多いようです。
なお霊柩車は葬儀場から火葬場への片道のみの運行です。火葬場から戻る際には霊柩車はありませんので、帰りの移動手段を別途用意しておく必要があります。
乗車前に準備しておきたいこと
霊柩車に乗車する際は遺影写真を両手で持つため、手荷物は最小限にするか他の方に預けておくと安心です。バッグに携帯電話を入れたまま預けてしまうと、道中に連絡が取れなくなる場合があります。乗車前に必要な連絡先や確認事項を整理しておくとよいでしょう。
車内での過ごし方については、静かに故人との時間を持つ場として活用する方が多くいます。他の参列者に聞かれにくい空間でもあるため、今後の段取りの確認を乗車中に行う場合もあります。道中は前進を続けることが一般的で、葬儀社側も極力バックせずに済むルートを選んで運行します。
・乗車人数:葬儀社に事前確認する(打ち合わせ段階が望ましい)
・誰が乗るか:家族内で相談し、打ち合わせ時に葬儀担当者へ伝える
・手荷物:遺影写真を両手で持つため、バッグは別の方に預ける
・帰りの移動:霊柩車は片道のみ。火葬場からの帰路は別手段を用意する
- 乗車人数は車両の仕様によって1〜4名程度まで幅がある
- 誰が乗るかの明確な決まりはなく、喪主または近親者が乗ることが多い
- 遺影写真は両手で持つため、手荷物は乗車前に整理しておく
- 帰路は霊柩車での移動がないため、別途手配しておく
リムジン霊柩車の費用相場と手配の流れ
霊柩車の利用料金は種類と走行距離によって変わります。葬儀プランに含まれているケースと別途請求されるケースがあるため、見積りの段階で内容を確認しておくと安心です。
利用料金の仕組みと相場
霊柩車の利用料金は、国土交通大臣への届出に基づいて設定されます。葬儀社が任意に決めることはできず、料金を無料にすることも制度上認められていません。料金は走行区間(霊柩車の車庫から葬儀場まで+葬儀場から火葬場まで)の距離をもとに計算されます。
走行距離10kmまでの料金は、おおむね1万2,000円〜2万円が目安とされています。以降10kmごとに2,000円〜5,000円程度が加算される仕組みです。リムジン型(洋型)は宮型と比較して改造費用が抑えられているため、利用料金も宮型より低くなる場合があります。ただし、具体的な金額は葬儀社・地域・車両の仕様によって異なるため、利用前に見積りで確認するとよいでしょう。
追加料金が発生するケース
霊柩車の基本料金に加え、時間帯・道路・状況によって追加料金が発生する場合があります。早朝(5〜8時)・夜間(19〜22時)・深夜(22〜5時)には割増料金が加算されます。冬季に割増適用地域を走行する場合も同様です。
高速道路や有料道路を利用した場合はその通行料が別途請求されます。フェリーを利用する場合も同様です。利用者の都合で30分以上待機した際は車両留置料金が発生する場合もあります。葬儀プランの説明書に記載がない追加項目もあるため、見積りの際に追加料金のパターンをひと通り確認しておくとよいでしょう。
葬儀プランへの含まれ方と手配方法
霊柩車は通常、葬儀社が手配します。葬儀プランに「搬送費用」として計上されている場合、病院などから安置場所への搬送(寝台車)を指していることが多く、出棺時の霊柩車費用が別立てになっている場合があります。見積りを確認する際は、「搬送費用」が出棺時の霊柩車を含むかどうかを明確にするとよいでしょう。
リムジン型など特定の車両を希望する場合は、打ち合わせの段階で希望を伝えます。葬儀社が保有していない車両は専門業者に手配するため、早めの相談が安心です。また、公営火葬場では対象地域の住民に対して霊柩車の割引料金が設定されているケースや、無料で利用できるケースもあります。詳細は各火葬場・自治体のウェブサイトまたは窓口でご確認ください。
| 種類 | 外観の特徴 | 乗車の目安 | 費用傾向 |
|---|---|---|---|
| 宮型 | 装飾棺室付き。金・黒が基調 | 助手席1名が多い | 高め(維持費も大) |
| 洋型(リムジン型) | 高級車ベースでシンプル | 2〜4名(仕様による) | 中程度 |
| バン型 | ミニバン外観。目立ちにくい | 2〜3名(車種による) | 比較的低め |
| バス型 | マイクロバス。棺と同乗 | 複数名(地域・仕様による) | 地域差あり |
- 料金は走行距離で変動し、10kmまでおおむね1万2,000円〜2万円が目安
- 時間帯・道路条件によって追加料金が発生する場合がある
- 搬送費用が出棺時の霊柩車を含むかは見積りで確認する
- 特定の車種を希望する場合は打ち合わせ時に早めに伝える
リムジン霊柩車の手配で確認しておきたいポイント
霊柩車の手配は基本的に葬儀社が担いますが、遺族側で事前に把握しておくと当日の混乱を避けやすくなります。費用・乗車人数・ルートなど、打ち合わせで確認しておきたい項目を整理します。
打ち合わせで確認する項目
葬儀の打ち合わせ時に霊柩車について確認しておきたい主な項目は、車両の種類・乗車人数・費用の内訳・出発時刻の目安の4点です。特に乗車人数は、当日になってから調整が難しいため、家族内で誰が乗るかを決めるために必要な情報です。
霊柩車の費用がプランに含まれているかどうかも、見積りの段階で確認しておくとよいでしょう。「搬送費用」の項目が搬送(病院→安置所)のみを指しているのか、出棺時の霊柩車も含むのかは葬儀社によって異なります。不明点は担当者に直接確認するとスムーズです。
ルートと移動時間の調整
霊柩車のルートは、葬儀社や運転担当者が事前に計画します。交通状況や道路の幅によっては迂回ルートを取る場合があり、所要時間が変動することもあります。火葬場の予約時刻に合わせたスケジュール調整は葬儀社側が行いますが、遠回りのルートを希望する場合(故人が好きだった場所を通るなど)は、事前に担当者へ相談することで対応可能なケースがあります。
一般的に霊柩車は途中でバックしないルートを選んで運行します。「バック=戻る」ことが故人の旅立ちにそぐわないとする考え方が背景にあり、葬儀社側も可能な限り前進のみで走れる経路を選ぶ配慮をしています。これは法令で定められたものではなく、葬送文化に根ざした慣習です。
心付けについての考え方
霊柩車の運転手への心付けを出棺前または火葬場到着後に渡す慣習がある地域があります。一般的な金額の目安は3,000円〜5,000円程度とされていますが、心付けは必須ではありません。葬儀社によっては心付けを受け取らないスタンスを取っているところもあります。
心付けを渡す場合は、白無地の封筒または弔事用の半紙に包むのが一般的です。表書きは不要とされています。渡すかどうかを迷う場合は、葬儀担当者に事前に慣習を確認しておくと判断しやすいでしょう。
・霊柩車の種類と乗車人数
・費用がプランに含まれるか(搬送費との違いを確認)
・希望する車種の有無
・出発ルートの変更が可能か
・心付けの慣習の有無
- 乗車人数・費用・ルートは打ち合わせの段階で確認しておくと安心
- 搬送費用に出棺時の霊柩車が含まれるかは葬儀社によって異なる
- 特定ルートの希望は担当者への早めの相談で対応できる場合がある
- 心付けの慣習は地域・葬儀社によって異なり、事前確認が安心
まとめ
リムジン霊柩車は洋型霊柩車とも呼ばれ、高級車をベースに車体を延長した構造で、宗派を問わず利用できるシンプルな外観が特徴です。現在の葬儀では最も広く使われている形式で、全国的に主流となっています。
利用にあたっては、乗車人数・費用の内訳・希望する車種の有無を葬儀打ち合わせの段階で葬儀社に確認しておくとよいでしょう。
大切な方との最後の時間を穏やかに過ごすためにも、事前に知っておける情報はあらかじめ整理しておくと安心です。

